相続不動産を所有の方に家族信託(民事信託)を考えてみました。

みなさま、こんにちは~~~!

本日は、相続にどう対応するかということで、不動産を保有の方で、

① 配偶者が認知症状になりつつある

② 収益不動産をお持ちの方

③ 子のいないご夫婦

④ 障害のある子がいらっしゃる方

⑤ 遺留分対策をどうしようかとお考えの方

⑥ 事業承継(株式を後継者)をどうしたらいいか

などをお考えの方々に、民事信託を検討してみてはどうかという提案のコーナーにさせていただきます。

新しい信託法は、平成18年12月8日国会で成立し、平成19年9月30日に施行されました。このことで、大正11年に制定された旧信託法は、84年ぶりに前面改正されました。

その結果、個人間の信託が非常に利用しやすくなり、特に、民事信託として自己や家族の福祉を目的とした家族信託(資産承継信託契約等)を締結するケースが徐々にひろがっています。

今回は、①のケースで、認知症の奥さまがいらっしゃる一家(夫婦二人、子二人)の家族信託(資産承継信託契)の依頼を受け、処理を行いましたので、司法書士職能としての事例報告とさせていただきます。

今回のご家族のケース

 ご主人(82歳) 余命僅かの状態、施設入所

 奥さま(80歳) 重度の認知症、グループホームに入所

 長 女(54歳) 病院勤務、父親の世話をしている、

 長 男(48歳) 大手自動車会社勤務、海外出張が頻繁

このケースで、奥さまが重い認知症で(要支援)、ご主人の相続の問題に直面したとき、成年後見人を選任して対応しなければならないということもあり、ご主人の生前のうちに一部財産を子に託せるならということで、資産承継信託契約締結となりました。

骨子は、委託者ご主人が、自宅の土地建物を信託不動産として、受託者長女に信託するという内容のものです。

『信託の目的』

本件信託は、本件信託不動産を委託者であるご主人(A)から受託者(B)長女に信託することにより、自己およびAの妻である(C・奥さま)の生活の安定と、Aの財産Aの望みどおりに管理・処分・承継されることを目的とする。

本件信託の締結により、Aが認知症などで判断能力が低下しても、さらには死亡した後も、AおよびCが安定して生活できるようにすることがAの願いである。

という目的設定で、信託財産としては、ご主人のご自宅の土地・建物、金銭(具体的には1000万円等と契約書に記載)、信託不動産の賃貸、売却、その他運用により得られた財産、その後追加信託される金銭及び不動産などとなっています。

また、別途自筆証書遺言で、ご主人の財産のうち、信託不動産、信託金銭ではない不動産その他財産は、長男の方に相続させるとされました。

このケースでは、奥さまがグループホームに入所されて、ご主人の相続が開始したとき、成年後見人を選任するにも専門職に依頼するとなると費用が発生し資金不足におちいりかねないということで、

長女が受託者(管理者)としとご主人の信託不動産と信託金銭を管理し、ご主人と奥さま(双方受益者)の面倒をみるという信託契約となっています。

一先ず、ご自宅の不動産を所有権移転及び信託として、長女に名義を移転し、ご主人の年金、金銭を受託者の長女が管理するということになりました。

※家族信託のメリットとしては、

(1)財産を渡しても、贈与税がかからない。

(2)所有者(ご主人)が死亡すれば相続税で処理。

(3)ご主人はいつでも、家族信託を終了できる。

(4)ご主人が認知症になっても、自宅の管理や処分が可能。

などがあげられます。

また、信託と税金については別の機会にふれさせていただきます。

なお、奥さまについては、本来ならば、成年後見人の選任をしなければならない段階に近づいているのですが、費用の問題もあり、しばらく様子をみるということになりました。

施設入所されている後期高齢者の方々の預金管理の件では、ご家族の方々が金融機関から成年後見人の選任を促されるケースが大変多いと聞いておりますが、

しかし、現実、成年後見人選任について、なかなか躊躇されるご家族の方々が多いようです。

一先ず、このような家族信託の事例ということで参考にしていただければと思います。

では、今後も、相続対策の一環としての信託契約(商事信託・民事信託)ということで、事例研究をおこなっていきます。

 

 

 

 

 

 

投稿者: jedishiog

三重県四日市市で不動産会社の専任宅地建物取引士をしておりますシオジーです。シニアの時代劇役者にチャレンジしながら、三重県四日市市と名古屋市周辺で不動産業務を行ってます。不動産に関する様々な情報をアップさせていただきます。

コメントを残す